2021年10月30日(土)
- 受付開始・開場:開演の30分前
- 上演時間 81分
- ★14:00の回の上映後、青年団俳優の福田倫子さんと髙橋智子さんによるトークイベント開催
- ★17:30の回の上映後、芸術文化観光専門職大学講師でドラマティーチャーの石井路子さんによるトークイベント開催
豊岡映画センター定期上映会 vol.03
シングルマザー5人と演劇ワークショップについてのドキュメンタリー映画
2021年10月30日(土)
作品提供:山形国際ドキュメンタリー映画祭
山形国際ドキュメンタリー映画祭2019インターナショナルメインコンペティション出品作品
サウス・バイ・サウスウエスト映画祭2019グローバル部門観客賞受賞
⽂化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
CACHADA予告編(英語字幕バージョン)私がこの映画の登場人物たちに出会ったのは、2010年、卒業制作となる短編ドキュメンタリーの撮影のために、スペインからはるばるエルサルバドルへ赴いたときのことだった。取材対象である現地のNGO団体が、街頭で物売りをして生活する人々の子どもたちのケアを主な活動内容としていて、マガリやマグダ、ルースやチレノやウェンディは、そんな母親たちのなかにいたのである。
初めて中米を訪れた私は、このとき、自分とは完全に異質の現実と直面することとなった。私は当時23歳で、自分とそう変わらない年齢の女性が自分とは全く異なる人生を歩んでいて、子どもたちをできるだけちゃんと育てることしか考えていないという事実に、ショックを受けたのだ。
ところが3年後、エルサルバドルへの移住を果たした私と再会した彼女たちは、なんと舞台の上に立っていた。あの内気で不安げな女性たちが劇団を結成し、家庭や市場での自身の経験を描く、ささやかな演劇の実験を披露していたのである。私は驚いた。そこにいるのが、かつて出会った人と全く異なる女性たちだったからだ。彼女たちはその頃、プロとして初公演となる劇の準備を進めていた。そこで私は、母親としての実体験を語るこの劇が創作される過程で行われる稽古を、一つひとつ撮影していこうと決心した。
リハーサルを重ねてゆくごとに、幼児期の虐待、10代での妊娠、ジェンダーにもとづく暴力、性的虐待、貧困など、彼女たちの体験してきた恐ろしい出来事の数々を知ることとなった私は、やがて何か本質的な変化が目の前で起こっていることに気づいた。私は、演劇から力を得た女性たちが自らの声を発見するという実験、そのなかで彼女たちが自身を理解し再発見するという実験の立会人となった。そして、暴力的な現実が自分と子どもに対してもたらす影響や、そうした世代間の悪循環と闘い、打破することがこの実験によっていかに可能であるかに彼女たちが気づいてゆく様を、その目で見届けることになったのである。
2021年10月30日(土)
★14:00のトークイベント
★17:30のトークイベント