たじま児童劇団

2023.8.13[中高生の部]活動レポート

たじま児童劇団は、江原河畔劇場を拠点に、子ども達と演劇ワークショップをしています。現在は小学生の部(小学4年生〜6年生)と中高生の部、2チームで活動しています。

今日は、中高生の部の活動レポートです!

2023.8.13[中高生の部]活動レポート

ー2023年8月13日(日)中高生の部 第2回目 活動レポートー

第3期たじま児童劇団(中高生の部)が先週から始動し、本日は第2回目の活動日。今期はなんと総勢22名!の大所帯となりました。そのうち約半数が新規の参加者なのですが、うち5名が昨年度の小学生の部を卒業して、今期の中高生の部への参加という事実に、すでに胸アツのスタッフ。名簿を見ただけでウルウルしまう始末です…(笑)「劇団っぽくなってきたね」と呟く経験者メンバー。ほんとにそうだね。昨年度の序盤は、メンバー同士が打ち解けるのに時間がかかり、活動時間の開始前はシーンと静まり返っていたスタジオ・・・。今期は早めに打ち解けてもらおう!と、今日はスタッフが色んなアイスブレイクゲームを準備していたのですが・・・、それは取り越し苦労に終わりました。

今期から参加するメンバーにも、経験者メンバーが積極的に名前を聞いて覚えようとしてくれたり、明るい雰囲気づくりをしてくれたり、活動開始前から既に和気あいあいとした空気がスタジオに溢れていました。前回の活動日ではお互いの名前も知らぬままゲームや稽古をしたとのことで、今日は少しでも名前が覚えられるように、また、どんどん声が出せるように、体と心のウォーミングアップを兼ねて、やっぱりまずはアイスブレイクゲーム!(せっかく準備したし…)色んなゲームもメンバー達の高いコミュニケーション力で楽しんでくれて、時間がオーバーするくらい盛り上がってしまいました。

その後は、落ち着いて基礎の発声練習をしっかりと。軽い筋トレや、リラックスした体の状態の作り方、立つ時の体の意識などを、スタッフから伝えます。そして「あえいうえおあお…」などの発声や、子音発声の練習をひととおりみんなでやってみました。また、普段の会話の速度ではなく、舞台上で聞き取りやすい会話スピードのトレーニング等を伝え、家でも毎日できるように参考テキストも渡しました。オリザさんからも口頭で「発声練習は毎日の積み重ねが大事」「すぐには効果は出にくいけど約5ヶ月後の公演の時に、必ず違いが出てくる」とのアドバイスがありました。そう、みんな普通の中高生ですが、1月には本格的な舞台に立つ俳優たちなのです。メンバー達の眼差しがキラリと真剣になりました。

その後は、オリザさん作の『阿房列車』という台本の一部抜粋テキストを使って、3人1組で演じてみました。あてどなく列車に乗る夫婦と、そこに乗り合わせた一人の女性の会話劇です。一見すると普通に聞こえる、誰でも言えそうな「旅行ですか?」という台詞が、実は、いかにハードルが高いか、がオリザさんから解説されました。これを読んでくださってる皆さんはどうでしょうか。たまたま乗り合わせたばかりの初対面の人に、いきなり「旅行ですか?」と声をかけるでしょうか?話しかける側の背景や、土地柄、人種などにも大きく左右されるということ等も含め、みんなが分るような言葉で丁寧に伝えてくれたオリザさん。メンバー達は「意外だった。」「でもオリザさんの解説を聞いて納得した。」「とても分かり易くて伝わった。」とのこと。

では、そのハードルの高い台詞を、どうしたら自然な流れの会話にできるのか、どんな台詞やシチュエーションを加えたら、「旅行ですか?」と話かけるハードルが下がるのか、をチームで考えて創作してもらいました。先程、オリザさんの丁寧な解説でみんな理解したはずなのに、いざ会話を作るとなるとコレがまぁ難しい…!みんな頭をひねって苦戦しています。結果、どのチームもとても面白い発表になりました。「シャケ好きなんですか?」「ガッキーですか?」「コウモリ見ました?」など、真剣に考えた末に、初対面の人に「旅行ですか?」と話しかけるよりも更にハードルの高い言葉が繰り出されてしまい、オーディエンスも思わず大笑い。演じている方も、アイデアを思いついた時点ではイケる!と思ったのに、いざやってみると、あれ?やっぱり変だな(笑)と、笑いをこらえきれない様子。

しかし、それに対するオリザさんの解説が圧巻でした。・シャケ弁にやたらこだわる様子を事前に見せて”伏線を貼る”・(あの人ガッキーに似てるよね?)とヒソヒソ言う夫を妻が嗜めて”立場に変化を付ける”・妻の方が「コウモリ見ました?」と話しかけて、夫がそれを嗜めて”温度差を見せる”など、みんなが考えたアイデアがより「リアル」になる具体的な会話の例がじゃんじゃん出てきます!良いアイデアも、如何に「リアル」に落とし込むか、どうやってアイデア止まりにさせないか、そこが難しいけど、でも大事であるという事を解説してくれました。

あと、良いアイデアが生れても、練習しないと発表で具現化されず、結局なかったことになってしまう。中高生ともなると、どこに時間を割き、どこを割愛するのか、その判断も自分達でしていかなければいけない、ということもオリザさんから伝えられました。今日うまくいかなかったからこそ、メンバーにとって得られたものは大きかったのではないでしょうか。「みんなは劇作家になるわけじゃないから、こんなに演出をする必要はないけどね」とオリザさんは優しくフォローしてくれてましたが、しかし、今日学んだことは、俳優としても、台本の内容を解釈したり、台詞の意図を汲むなどの視点につながる大切な内容だったと思います。

こんな活動を積み重ね、来年1月の公演に標準を合わせて、俳優としての力を高めていくであろうメンバー達。彼らの今後の成長が楽しみすぎて、最後まで胸アツのスタッフでした。8月はまた来週も活動があります。彼らのアツい夏はまだまだこれからです。今後のたじま児童劇団(中高生の部)にご期待ください(^^)

【スタッフ 福田】

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