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対談企画|もっと知りたい!ひょっこりシアター vol.3(水間恵里さん)

江原河畔劇場で活動する「ひょっこりシアター」が、今年、初めて豊岡演劇祭に参加します。

そこで、豊岡演劇祭2026での上演に向けて、「ひょっこりシアターってどんな活動?」「どんなふうに作品をつくっているの?」を、あらためてご紹介する企画「もっと知りたい!ひょっこりシアター」。

vol.3では、ひょっこりシアターに参加しているお二人に、それぞれお話を伺いました。
今回は、お一人ずつ2回に分けてご紹介します。

二人目は、ひょっこりシアターの体験・創作ワークショップに参加している水間恵里(みずまえり)さん。演劇を観るようになったきっかけや、ひょっこりシアターに参加するまでのこと、活動の中で好きな時間や印象に残っている創作、人との関わりの中で感じている変化、そして初めての豊岡演劇祭に向けた今の気持ちをお聞きしました。

今回のインタビューは、水間さんとドキュメント上で文章をやりとりする形で行いました。最初にいくつかの質問に答えていただき、その回答を受けてさらに質問をお送りしながら、お話を伺いました。聞き手は、江原河畔劇場スタッフの太田久美子です。

――ひょっこりシアターに参加したきっかけを教えてください。

同僚がやっているお芝居を何年も観ていて、そのうち「自分もお芝居をやってみたい」という気持ちが芽生えました。でも、私は家族以外の人とは声を出して話すことができないので、「自分にはお芝居なんて無理だ」と諦めていました。

――同僚の方がやっているのは、どんなお芝居ですか?

村芝居なので、時代劇です。

――水間さん自身は、どんなお芝居が好きですか?

私は、いろいろなジャンルのお芝居が好きです。一番好きな公演は、青年団の『銀河鉄道の夜』です。

私が初めて豊岡演劇祭を観に行ったのは2022年で、その時に香住区中央公民館で上演された『銀河鉄道の夜』を観ました。当時は「青年団」という名前を何となく知っている程度で、どんな方がいるのかも分からないまま観に行き、当日パンフレットを見て出演者の名前を知りました。

――『銀河鉄道の夜』を観に行こうと思ったきっかけは、何だったんですか?

2015年に映画『幕が上がる』を観て、平田オリザさんを知ったことです。劇中劇として登場する『銀河鉄道の夜』に興味を持ち、それからずっと青年団の『銀河鉄道の夜』を観たいと思っていました。

なかなか機会がないまま時が過ぎ、2022年の豊岡演劇祭で地元の香美町で上演されることを知り、「観に行こう」と決めました。それまで演劇に触れる機会がほとんどなかったので、実際に観ることができて、すごく感動したのを覚えています。それ以来、演劇を観に行く機会が増えました。

――冒頭で「自分もお芝居をやってみたい」とありましたが、当時はどんなお芝居をやってみたいと思っていましたか?

具体的に「こんなお芝居をしてみたい」というものはなかったのですが、漠然と、人前で舞台に立って演じてみたいという気持ちがありました。

その後、豊岡に大学や劇場ができて、演劇を観に行く機会が増え、お芝居をやってみたいという気持ちもさらに強くなりました。

そんな時に、ひょっこりシアターの募集を見つけました。チラシには「しゃべらなくてもいい」と書いてあって、「これなら自分にもできるかも」と思いました。でも、どんな感じなのか分からないし、本当にできるかなという不安もあって、勇気が出ず、1年目は参加できませんでした。

その後、劇場のSNSなどで活動の様子をチェックしたり、発表会を観に行ったりして、「やっぱりやってみればよかったかな」と後悔しました。それで、もし次があれば絶対に挑戦してみたいと思い、参加することを決めました。

――発表会のどんなところを見て、「やってみればよかった」と思いましたか?

ゆるくて、ほっこりする感じで、楽しそうだなと思いました。

――ひょっこりシアターでは、どんな時間が好きですか?

劇場に行ってからワークショップが始まるまでの時間が好きです。みんな思い思いに過ごしていて、ゆったりとした優しい時間が流れているなと感じます。

――ワークショップが始まるまで、みなさんはどんなふうに過ごしていますか?

みんなは、音楽をかけたり、踊ったり、それぞれでお話をしたりして過ごしています。

――水間さんは、何をしていることが多いですか?

私は、最近撮った写真を見せたり、みんなが遊んでいるのを眺めたり、みんなの写真をカメラで撮ったりしています。

――ひょっこりシアターではいろいろなことをしていますが、その中で特に楽しいことは何ですか?

楽しいのは、ジェスチャー伝言ゲームです。声を出したらダメなので、人前で声を出すことが苦手な私にとっては、安心してできることの一つです。

――ジェスチャー伝言ゲームのほかには、どんなことをしていますか?

名前を呼び合ったり、拍手まわしをしたり、チームに分かれて短いお話を作ったりしています。

――これまでの活動で、覚えていることや印象に残っていることはありますか?

一番最初にひょっこりシアターに参加した日は、緊張と不安でドキドキしながら劇場に行きました。でも、みなさんが優しくいろいろと声をかけてくださって、すぐにその場に溶け込むことができた気がして、嬉しかった記憶があります。

あと、誕生日が近かった時に、お芝居の中でみなさんにお祝いしてもらえたのが印象に残っています。

――誕生日のお祝いが作品の中に入ったんですね。その時は、どんな物語だったんですか?

アンパンマンミュージアムに行き、そこで会ったキャラクターたちと、その後、回転寿司屋でばったり会って、相席をして一緒に食事をしていたら、店員さんが誕生日ケーキを運んできて、みんなでお祝いするというようなお話でした。

――いろいろな創作をしてきた中で、印象に残っている役はありますか?

酔っ払いの役です。

私はお酒をほぼ飲めなくて、酔っ払うということを経験したことがないので、お芝居で役として酔っ払うことができて楽しかったです。

――ひょっこりシアターのことを、仕事先や友達など、周りの人と話すことはありますか?

伯母にひょっこりシアターのことを話した時に、伯母が勤めている小学校に村井さんがワークショップで来られていたことを知り、そこから演劇の話をするようになりました。

同僚には、お芝居をやっていることを伝えたら興味を持ってくださって、「応援してるよ」「頑張って」と声をかけてもらいました。同僚とも演劇の話ができるようになって嬉しいです。

――同僚の方や伯母さまとは、普段どんな演劇の話をしていますか?

「○日にひょっこりシアターの活動があります」ということや、「今度、江原河畔劇場でこんな公演があります」ということを伝えたりしています。

伯母とは2回、一緒に演劇を観に行きました。『タジタジ道中膝栗毛』と、「ちっちゃい姫」シリーズです。

――ひょっこりシアターに参加するようになってから、気持ちや考え方、普段の生活の中で、何か変わったことや気づいたことはありますか?

ひょっこりシアターに参加するようになってから、人と関わることが楽しいと感じるようになり、初対面の人とも以前より積極的に、筆談やスマホのメモでコミュニケーションを取れるようになりました。

これまでは、家族以外の人と話せないだけでなく、筆談やスマホのメモでコミュニケーションを取ることすら、周りの視線が気になり、なかなかできずにいました。職場でも、同僚に何か伝えたいことがあっても伝えることが難しかったのですが、今は気軽に筆談で伝えられるようになりました。

――私自身、以前、劇場で物販に入っていた時に、水間さんが筆談で購入するものを教えてくださって、そこで初めて水間さんとやりとりをしたことを覚えています。筆談を通してお話しできたことが、私はとても嬉しかったです。

「人と関わることが楽しいと感じるようになった」と書いてくださいましたが、ひょっこりシアターでは、どんな時にそう感じますか?

みんなの写真を撮っている時です。

私は写真を撮るのが趣味なのですが、これまでは風景か愛犬の写真ばかりを撮っていました。人物の写真も撮ってみたい気持ちはありましたが、コミュニケーションを取るのが苦手なので少し抵抗があり、避けてきました。

ひょっこりシアターでは、人物の写真を撮るのがすごく楽しいです。みんなも私が写真を撮っていても特に気にする感じはなく、受け入れてもらえているのかなと感じています。

人物の写真を積極的に撮れるようになったことも、ひょっこりシアターに参加して変わったことです。

――初めての豊岡演劇祭、今はどんな気持ちですか?

観客として観に行っていた豊岡演劇祭に、出演者として関われることが嬉しいです。

――豊岡演劇祭での本番に向けて、楽しみにしていることはありますか?

みんなで楽しく稽古ができたらいいなと思います。
それから、稽古の合間にほかの作品を観に行くのも楽しみです。

――観に行きたい作品や、気になっている作品はありますか?

江原河畔劇場で上演される、無隣館インターナショナル「江原短編セレクション」の『日本の会話』を観に行く予定です。

――最後に、ほかにもお話ししたいことはありますか?

2024年の豊岡演劇祭で、『銀河鉄道の夜』舞台手話通訳付き公演を観劇した時のことが印象に残っています。

会場内が手話や筆談に対応していて、物販では、購入したい商品に◯をつけるだけで買うことができる注文表がありました。聴覚障がいのある方だけでなく、私のように人前で声を出すことが難しい場面緘黙(ばめんかんもく)の人にも優しい空間で、とても嬉しかったです。どの公演でも、このように声を出さなくてもやりとりできる方法があったらいいなと思いました。

少しインタビューの内容とずれるかもしれませんが、私の症状についても書きたいと思います。

私は場面緘黙という障害があり、小学2年生の頃から、家族以外の人とは声を出して話すことができなくなりました。当時は、なぜ話せなくなるのか自分でもわかりませんでした。

話したい気持ちはあるのですが、いざ声を出そうとすると、喉が締め付けられたようになって声が出なくなります。なかなか理解してもらえず、これまで辛い思いをたくさんしてきました。

でも、ひょっこりシアターのみなさんは、私が話せなくても普通に優しく接してくださって、本当に感謝しかないです。

ひょっこりシアターをきっかけに、家族以外の人と全く話せなくても演劇に挑戦できるということを、少しでも知ってもらえたらいいのになと思いました。


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豊岡演劇祭2026 公式プログラム
『ひょっこりシアター』
構成・演出:舘そらみ
2026年9月26日(土)〜9月27日(日)
江原河畔劇場