たじま児童劇団

2023.8.6[中高生の部]活動レポート

たじま児童劇団は、江原河畔劇場を拠点に、子ども達と演劇ワークショップをしています。現在は小学生の部(小学4年生〜6年生)と中高生の部、2チームで活動しています。

今日は、中高生の部の活動レポートです!

2023.8.6[中高生の部]活動レポート

ー2023年8月6日(日)中高生の部 第1回目 活動レポートー

8月6日(日)午後は中高生の部の活動がありました。猛暑の中、早々とクーラーの効いたスタジオに入り、おしゃべりをしたりゆっくりしたりする様子が見られました。活動の前半は、ゲームやワークをいくつか行いました。

まずは、仲間集めゲームです。「学年」「どこの市町村から来たか」「兄弟の数」「好きなおかず」で、答えが同じ人が集まって仲間をつくりました。積極的に声を出して、仲間を見つけにいく様子が印象的でした。今日、初めて中高生の部の活動に参加するメンバーもいたことから、「新生・たじま児童劇団中高生の部」の顔合わせの機会にもなったことでしょう。

次に、ペアで背中合わせになり、お互いの背中を合わせたまま、前後や左右に動いたり、立ち上がったりするワークをしました。講師の平田オリザさんが、「相手に背中を預けることがコツ」と仰っていたように、相手に背中を預け、ペアで協力してワークを行う様子を見ることができました。その次は、友達探しゲームをしました。このゲームでは、数字の書かれたカードを1枚引き、その数字の大きさに沿って「自分の趣味」を設定します。数字が大きいほど活発な趣味を持っており、数字が小さいほどおとなしい趣味を持っているということになります。その後、友達探しパーティーの会場に来たという設定で、少人数ずつでコミュニケーションを取りながら、なるべく数字が近いペアを見つけます。カードの数字に沿って趣味を考えたはずなのに、数字が離れたペアがいたり、スポーツよりもショッピングのほうが高い数字だったり……。さらにもう1回戦、「自分の会社で作っているもの」というお題でゲームをしましたが、そこでも作っているものの大きさと数字が噛み合わない場面がありました。ゲームを通して、自分の感覚と他人の感覚が大きく異なっていることに気づかされたのではないでしょうか。さらに、友達探しゲームのもととなったワークも行いました。刑務所バージョンと病院バージョンの2回行われ、刑務所バージョンは、数字が大きいほど罪が重くていばっている囚人、数字が小さいほど罪が軽くてオドオドしている囚人という設定です。自分が引いたカードの数字に基づいて罪を決め、囚人たちの話し合いをもとにカードの数字の大きい順に並び替えます。全員で協力して自分の数字に近い人を見つけ出し、頭をひねらせつつも並び替えをすることができました。病院バージョンは、数字の大きい人のほうが病気が重くて長く入院しており、数字の小さい人のほうが病気が軽くて入院日数も少ないという設定です。このバージョンでは、看護師役の人を1人決めました。看護師が病人たちから状態を聞き、それぞれの病人の数字を予想して、順番に並べるというルールです。数字をまったく知らない人が並べ替えをするため、囚人バージョンよりも難易度が上がりました。それでも看護師が的確に病状を質問したり、病状の重さを演技で表現したりすることで、あと少しで正解というところまで持っていくことができました。価値観をすり合わせたりコミュニケーションを取ったり、やることが多く難しいゲームではありましたが、病気の重い人が床に這いつくばって迫真の演技をする様子に笑いが起きる場面もあり、楽しみながら価値観の違いに触れられたのではないかと思います。

活動の後半は2チームに分かれ、前半に行なった友達探しゲームや、囚人や病人のワークをもとに、新しくゲームを考案しました。1チーム目は、舞台が動物園で、カードの数字が大きいほど大きな動物、数字が小さいほど小さな動物という設定。飼育員を1人設け、飼育員がそれぞれの動物の大きさを聞き出して順番に並べるというゲームです。2チーム目は、「ある劇団員への愛の重さ」をお題にしており、数字が大きい人ほどその劇団員への愛が重く、数字が小さい人ほど愛が少ないという設定でした。どちらのチームとも、アイデアを話し合うだけでなく、シミュレーションをしながらルール作りをするなど、積極的かつ活発的にゲーム作りを行なうことができました。終了後には、「2チーム目のほうがプレイヤーから会話を引き出せていて、ゲーム的に作り込むことができていた。1チーム目は、動物が喋らないようにすれば、飼育員が動物を予想することができてよりおもしろくなると思う。」という講評をいただきました。ゲームを成立させるルールだけでなく、プレイヤーから会話を引き出したり、制限をつけたり、ゲームをおもしろくさせるルールを考えるところに、作品づくりの肝があるのではないかと考えました。

最後は、ペアになって、平田オリザさんの戯曲の一部を読みました。しばらく各ペアで読み合わせをした後、2つのペアが代表で、平田オリザさんの指導を受けながら戯曲を読みました。どちらのペアも、セリフ自体はスラスラ読めているものの、どこか力が入ってしまっています。そこで、平田オリザさんから「床に寝そべって、カタログに載っている商品名と値段を2つ言った後にセリフを言い始めて」という指示が飛びました!戸惑いながらも、出された指示をこなします。すると、先ほどよりも力が抜け、より自然にセリフが聞こえてくるようになりました!このように、日常の動きを取り入れながらセリフを言うことで、身体がリラックスするためより自然な演技ができるようになるとのこと。次は、歩きながら戯曲を読んでみました。およそ2メートルほどの直線を渡り切ると同時に、戯曲を読み終えなければなりません。しかし、さすがは中高生。どちらのペアも難なくクリアしました。ただし、これだけではありません。「直線の中盤でペアの片方が時間を尋ねる」「通行人の挨拶に返答する」といったタスクが追加され、てんやわんやな状態に。それでも、一つ一つのタスクを丁寧にこなしていきます。通行人は、代表のペア以外の中高生が担当。たった一言の挨拶の中にも、それぞれの個性が垣間見えました。最後は、直線の先に恐竜の置物が置かれ、「視線の先の恐竜がずっと気になる」というタスクが追加されました。その場の誰もが、恐竜を気にせずにはいられなかったでしょう。これまでは、セリフに向いていた注目が、一気に恐竜に移ったように感じました。平田オリザさんは、これらのタスクを「負荷」と呼び、演出家が「負荷」のかけ方を調節し、俳優は徐々に「負荷」がかけれらていくものだと仰っていました。

これからは中高生が、演出家によって稽古をつけられ、俳優として演劇作品をつくっていきます。初めて中高生の部を体験したメンバーにとっては、稽古がどのようにして行われるか想像する機会になったのではないでしょうか。また、昨年度から参加しているメンバーにとっても、作品創作に向けて、気が引き締められる回になったのではないかと思います。

すべてのワークの終了後には、今年度の公演の作品が発表されました。また、中高生からも、いくつか公演に関する質問がされました。公演への気合の入りようが伺えます。今年度は、どのような演劇が但馬の地に生まれるのでしょうか。たじま児童劇団中高生の部、これからの活動に乞うご期待です!

【芸術文化観光専門職大学3年 石川はな】

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